【初代京都天狼院秘本】みなさまへ、心を込めた「物語」の贈り物

販売価格 1,512円(税込)
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子供の頃から、気がついた時には、私のそばにはいつも、「物語」がいました。

本が好きな子供だったのです。
私にとっては、両親に絵本を読んでもらうことが、そして、自分で本を開くことが、
外で虫を取ることよりも、テレビを見ることよりも、弟とじゃれ合うよりも、何よりも楽しい娯楽でした。

『ぐりとぐら』と一緒に、いるかジャンプをし、
『はてしない物語』のバスチアンと共に、見知らぬ世界を冒険し、
『金閣寺』の溝口の隣で、金閣が炎上するのを眺め、
『神様のボート』の葉子の姿を見て、恋に憧れ、
『コインロッカー・ベイビーズ』のキクとハシと同じように、社会に対して怒りをぶつける。

そうやって、28年間、ずっと、本と共に成長してきました。

私にとって、「物語」は、誰よりも一番近い友達であり、決して離れることのない兄弟(あるいは姉妹)であり、自分の分身だったのだと思います。

でも、28年も生きていると、(いや、まだ、たったの28年なのかもしれないけれど)
その時、その瞬間は、すごく大切だったはずなのに、
今では忘れてしまった「物語」たちがたくさんあることに、私は時々気づかされ、愕然とします。
(きっとみなさまにもご経験があると思います)

そう、私にそんな気づきを与えてくれたきっかけのひとつが、この本だったのです。

「本を友達だと思っている池田さんは、きっとこの本、すごく好きだよ」

大学時代、書店のアルバイトの最終日に、仲良くしてもらっていた先輩から渡された、1冊の本。
それがこの本と私の出会いでした。

見た瞬間、ああ、すごく、いい雰囲気の本だな、と直感的に感じました。
絶対に私は好きになる、と。
表紙から伝わる、あたたかい雰囲気。それなのにどこか儚く淡い印象の装丁。
いやはや、これは確実にいい本だろうと、大きな期待を抱いて本を開いた覚えがあります。

その高い期待を裏切らず、読み始めると、不覚にも涙が止まらなかったのです。
今は忘れてしまった大事な自分の一部を、もう一度取り戻したような感覚。
どうして昔大事にしていたものを私は忘れてしまっていたのだろう、という歯がゆさと悔しさの中、
今まで私の中に眠っていた「物語」たちが、また、イキイキと言葉を発しながら動き出したのを感じました。
(それこそ、眠っていた美女や、野獣になっていた王子様が、魔法からとけたみたいに!!)

そして、不思議なことに、この本を読んでから、目に見える世界も少し、変わって来たのです。
「物語」は、なにも本の世界だけに広がっているのではない、ということに気がついたのだと思います。

私たちは、気がつかないだけで、日々、様々な「物語」の声を聞いて生きていて、
そして、その数々の「物語」たちも、次々に忘れて去って、生きているのだな、と。

たとえば。
大事にしていた、あの猫のぬいぐるみは、どこにいってしまったのだろう。
よく遊びにいった公園は、一体今はどうなっているのだろう。
初恋の人は、どんな人になって、今、どこで何をしているのだろう。

そういった過去の出来事だけではなく、今に溢れる多くのものに対しても、私たちは目を向けずに生活をしています。
いつも見ている映画は、誰が作っているのだろう。どんな思いで作っているのだろう。
一緒に働いている人は? どんな気持ちで働いているのだろう。
今テレビに映っているどこかの国の人たちは、どんな人生を送っているのだろう。どんな価値観なんだろう。……エンドレス。

そこにはひとつひとつ、ストーリーがあるはずなのに、私は知らないし、気がつかないふりをしている。
溢れかえるその声に、いちいち耳を傾けていたら、鼓膜が破れてしまうから。
聖徳太子じゃあるまいし、全てを聞くことなんてできないから。

でも、この本を読んでから、少しだけ、耳を傾けよう、と思ったのです。自分の身近なところから、少しずつ。
そして、その声に耳を傾けた時、どこか優しい気持ちになっている自分に気がつきました。
どんな時でも、何歳でも、やっぱり「物語」というものは、友達にも、兄弟にも、自分の分身にもなることができるのだと思います。

大人になった今、私のそばには、変わらず「物語」が溢れています。
いつもそれらは、それぞれの声音で、私に必死に語りかけて来ます。
京都天狼院の本棚から聞こえてくる本たちの声、京都という街の声、いけているお花の声、町家の声、様々な職人さんの声、店主三浦の声、スタッフたちの声、お客様の声……。
「私の声を聞いて!」「僕を見て!」と。

全ての声を、忘れずに覚えて、聞いて、過ごすことは、私にはできないけれど。
「物語」に溢れた鮮やかな世界に生きている自分が、本当に幸せだな、と思います。
そして、京都天狼院という場所が、そんな風に「物語」がイキイキと声を持って動いているような場所であり続けたい。そう強く思っています。

今回、「京都天狼院秘本を作っていいよ」と店主三浦から言われた時に、真っ先に浮かんだ本が、この本でした。
きっと、今の京都天狼院でしか、みなさまに贈れない本だと思いました。

そう、この秘本は、京都天狼院から、みなさまへ、心を込めた最初の「物語」の贈り物です。

天狼院秘本同様、こちらの条件をご承諾頂ける方にお譲りいたします。
・タイトル、秘密です。
・返品、できません。
・他の人には教えないでください。

みなさまの中に眠る、お姫様や王子様が、魔法からとけますように。
そして、目の前にいつもと違う世界が広がりますように。

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